「テロ等準備罪(共謀罪)」を新設する組織的犯罪処罰法等の一部を改正する法案が施行されました。

法律案名 : 組織的な犯罪の処罰及び犯罪収益の規制等に関する法律等の一部を改正する法律案

可決成立日 : 平成29年6月15日
公布日 : 平成29年6月21日
施行日 : 平成29年7月11日

組織的な犯罪の処罰及び犯罪収益の規制等に関する法律等の一部を改正する法律案要綱

第一 組織的な犯罪の処罰及び犯罪収益の規制等に関する法律の一部改正
 一 目的
   法律の目的に、「国際的な組織犯罪の防止に関する国際連合条約を実施するため」を加えるものとすること。
   (第一条関係)
 二 犯罪収益の定義
   次に掲げる財産を犯罪収益に加えるものとすること。(第二条第二項関係)
  1 財産上の不正な利益を得る目的で犯したイ又はロに掲げる罪(本法による改正前の別表に掲げるものを除く。)の犯罪行為により生じ、若しくは当該犯罪行為により得た財産又は当該犯罪行為の報酬として得た財産
   イ 死刑又は無期若しくは長期四年以上の懲役若しくは禁錮の刑が定められている罪
   ロ 別表第一(第三号を除く。)又は別表第二に掲げる罪
  2 第一の三の罪の犯罪行為である計画をした者が、計画をした犯罪の実行のための資金として使用する目的で取得した財産
  3 第一の四の罪の犯罪行為により供与された財産
 三 テロリズム集団その他の組織的犯罪集団による実行準備行為を伴う重大犯罪遂行の計画の処罰
  1 イ又はロに掲げる罪に当たる行為で、テロリズム集団その他の組織的犯罪集団(団体のうち、その結合関係の基礎としての共同の目的が別表第三に掲げる罪を実行することにあるものをいう。以下同じ。)の団体の活動として、当該行為を実行するための組織により行われるものの遂行を二人以上で計画した者は、その計画をした者のいずれかによりその計画に基づき資金又は物品の手配、関係場所の下見その他の計画をした犯罪を実行するための準備行為が行われたときは、それぞれイ又はロに定める刑に処するものとすること。ただし、実行に着手する前に自首した者は、その刑を減軽し、又は免除すること。(第六条の二第一項関係)
   イ 別表第四に掲げる罪のうち、死刑又は無期若しくは長期十年を超える懲役若しくは禁錮の刑が定められているもの五年以下の懲役又は禁錮
   ロ 別表第四に掲げる罪のうち、長期四年以上十年以下の懲役又は禁錮の刑が定められているもの二年以下の懲役又は禁錮
  2 1イ又はロに掲げる罪に当たる行為で、テロリズム集団その他の組織的犯罪集団に不正権益を得させ、又はテロリズム集団その他の組織的犯罪集団の不正権益を維持し、若しくは拡大する目的で行われるものの遂行を二人以上で計画した者も、その計画をした者のいずれかによりその計画に基づき資金又は物品の手配、関係場所の下見その他の計画をした犯罪を実行するための準備行為が行われたときは、1と同様とすること。(第六条の二第二項関係)
 四 証人等買収の処罰
  1 イ又はロに掲げる罪に係る自己又は他人の刑事事件に関し、証言をしないこと、若しくは虚偽の証言をすること、又は証拠を隠滅し、偽造し、若しくは変造すること、若しくは偽造若しくは変造の証拠を使用することの報酬として、金銭その他の利益を供与し、又はその申込み若しくは約束をした者は、二年以下の懲役又は三十万円以下の罰金に処するものとすること。(第七条の二第一項関係)
   イ 死刑又は無期若しくは長期四年以上の懲役若しくは禁錮の刑が定められている罪
   ロ 別表第一に掲げる罪
  2 1イ又はロに掲げる罪に当たる行為が、団体の活動として、当該行為を実行するための組織により行われた場合、又は1イ又はロに掲げる罪が、団体に不正権益を得させ、若しくは団体の不正権益を維持し、若しくは拡大する目的で犯された場合において、1の罪を犯した者は、五年以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処するものとすること。(第七条の二第二項関係)
 五 その他
犯罪収益の拡大に伴い、没収保全、追徴保全及び国際共助手続の対象となる犯罪を拡大するほか、所要の規定の整備を行うものとすること。

第二 条約による国外犯処罰
 第一の三の罪並びに組織的な犯罪の処罰及び犯罪収益の規制等に関する法律、爆発物取締罰則、暴力行為等処
罰に関する法律、児童福祉法、細菌兵器(生物兵器)及び毒素兵器の開発、生産及び貯蔵の禁止並びに廃棄に関
する条約等の実施に関する法律及びサリン等による人身被害の防止に関する法律に規定する罪の一部につき、刑法第四条の二の例に従うものとすること。

第三 刑法の一部改正
第百九十八条(贈賄)の罪につき国民の国外犯を処罰するものとすること。(第三条関係)

第四 犯罪による収益の移転防止に関する法律の一部改正
犯罪収益の拡大に伴い、捜査機関等への情報提供の対象となる犯罪を拡大するほか、所要の規定の整備を行うものとすること。(第十三条第一項関係)

第五 国際刑事裁判所に対する協力等に関する法律の一部改正
自己又は他人の管轄刑事事件に関し、証言をしないこと、若しくは虚偽の証言をすること、又は証拠を隠滅
し、偽造し、若しくは変造すること、若しくは偽造若しくは変造の証拠を使用することの報酬として、金銭その
他の利益を供与し、又はその申込み若しくは約束をした者は、二年以下の懲役又は三十万円以下の罰金に処する
ものとすること。(第五十五条関係)

第六附則
 一 この法律は、一部を除いて公布の日から起算して二十日を経過した日から施行するものとすること。(附則第一条関係)
 二 この法律の施行に関し必要な経過措置を定めるとともに、関係法律について所要の規定の整備を行うこと。
 (附則第二条ないし第十一条関係)