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聴覚刺激信号から加害者の声を再生する研究

「音声送信」対応、「聴覚刺激信号」から加害者の声を取り出すデコーダーの開発状況。

被害者宅内で観測される「聴覚刺激信号」は加害者の声の成分を含んでいる可能性が高いと思われます。
つまり、加害者の声の成分の信号プラスその声によって駆動される「とげ」の部分から成ると考えられます。

Toshiba Digital Camera

よって、加害者の声だけを取り出すには、とげのみを消去してしまえばよいわけです。

そこで性能の良い周波数弁別機器(バンドリジェクションフィルタ―)を設計製作しました。
とげの周波数に当たる成分だけを通過させなければ結果としてとげなしの成分=加害者の声の成分が残るはずです。
しかしこれはなかなかうまくいきませんでした。
とげの成分だけを取り除こうとしても、肝心の声の成分まで弱まってしまう結果となりました。

そこで、考え方を変えて、とげととげの間に存在する声の成分だけを取り出そうとして、再度回路設計を行い試作を繰り返しましたがなお性能が不十分でした。

ここで、とげだけ除去はあきらめ、別の方法を模索しました。

再度この信号をオシロスコープを使ってじっくりと眺めているうちに、
ある特徴を発見しました。

とげの大きさが時事刻々と変化しますが、その変化の具合は加害者の音声が含まれる成分に限られるのではないか、ということです。
画面上、とげがほとんど無い周波数があります。
そこにはおそらく加害者の声の成分もないのではないかということです。
また出たり入ったりしている周波数部分は、声の成分の強さに比例しているのではないかということです。

つまりとげの大きさが加害者の声の該当する周波数成分の大きさに比例しているということです。

そこで、実際にある周波数に相当するとげを取り出し、その大きさを直接音声信号に置き換える実験をしました。
すると、いくつかの周波数にあたるとげの大きさが刻々と変化をし、それをスピーカーアンプに通して聞いてみたら、言葉としては意味は通じないものの、何かを喋っているらしく聴こえるのです。

これを必要な周波数それぞれに対して行い、ミックスすればある程度抑揚と音色の変化を含んだ信号として再生できるのではないかと思えます。

これらの実験を予定中です。20220214